静かな旧道から、川越で賑わった島田髷発祥の地「島田宿」へ

2003年4月27日

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10:30 藤枝駅前を出発します。

東海道追分

瀬戸山を越える中世の古東海道と山裾に沿う旧東海道の分かれ道で地元の人はここを「追分」と呼んでいたそうです。

松並木

藤枝から島田までの道のりには、断続的に松が残っています。

染飯茶屋跡

くちなしで黄色く染めたおこわを携帯に便利なように平たい小判型や三角形につぶしたものが「瀬戸の染飯」です。くちなしで染めるとご飯の腰が強くなり、足腰が強くなるとあやかって人気があったそうです。染飯は東海道が瀬戸山の尾根伝いに通っていた頃から尾根の茶屋で売り始めたとされ、1582年(天正10)「信長公記」にも記されているそうです。

P戸の染飯版木

「江戸時代所有者、石野喜市」とあります。元染飯茶屋の石野宅には、当時の包装紙に刷っていた版木が残っているそうです。

千貫堤

このあたりは、大井川による水害に悩まされていました。1635年(寛永12)田中城主となった水野氏は、領内を守るため無縁寺の山裾から南方の藤五郎山をはさみ、本宮山(正泉寺)までの約360m、高さ3.6m、幅2.9mの堤防を造りました。昭和40年台の土地開発によって藤五郎山も堤防も撤去され、現在は約40mが残るのみです。

育生舎跡

明治5年8月2日の学制発布に基づき、明治7年4月14日に6つの村からなる、公立小学校ができ『育成舎』と名付けられました。その後、明治14年に校舎を新築移転し、明治19年に尋常小学、青島学校と改称されました。

田中藩領界石跡

ここにあったとされる領界石は、3mほどだったと書かれています。かなり大きいです。「従是西田中領」と刻まれていたそうです。

松並木

古い家が残る静かな通りです。

刀匠碑

島田の鍛冶は室町時代より江戸時代末期にかけて約400年の歴史を持ち、繁栄期にはこの島田に多くの刀工が軒を連ね鍛冶集団を形成していたとされます。その譜系は、義助・助宗・広助を主流とします。戦国大名の今川氏、武田氏、徳川氏などに高く評価され、特に義助の「御手杵の槍」、助宗によって造られた武田信玄所有の「おそらく造りの短剣」など秀逸な作品であったとされます。室町時代に活躍した蓮歌師宗長は、義助の子であったと言われています。

島田宿下本陣置塩家跡

島田宿には上名下、三軒の本陣がありました。上本陣は村松九郎治、中本陣は大久保新右衛門、下本陣は置塩藤四郎であり各氏世襲でこの職を勤めました。

今日は何やらお祭りのようで、近寄れませんでした。

芭蕉句碑・塚本如舟邸跡

塚本如舟は、元禄の頃、川庄屋を努めた島田の名家であり、俳人であり好事者(ものずきな人)でありました。芭蕉は元禄4年、東下りの際に初めて如舟邸を訪れて句を残します。更に元禄7年、芭蕉最後の旅になりましたが、再び如舟邸を訪れ、たまたま大井川の川止めにあい、4日も滞在し更に句を残しました。

芭蕉句碑

「するがの国に入て するが路や花橘も茶の匂ひ」

駿河路では橘の花匂いもお茶の匂いとなっている、という意です。お茶の香りが漂ってくるような句です。

島田宿

島田宿も宿場の中心地は商店街となっていて、銀行や商店などが並びます。島田は、島田髷の発祥の地ともされています。鵜田寺に「髪の塚」がありますが、東海道からは北へ1.5kmほどありますのでまたの機会に寄りたいと思います。

大井神社 

創建は不詳ですが、三代実録巻11に「865年(貞観7)大井神社に従五位下を授ぐ」とあり、それ以前の創建と考えられます。大井川の氾濫で度々流されており、現在地へ移ったのは1689年(元禄2)でした。鳥居左右の灯籠は、江戸・大阪を往復した飛脚仲間の奉納という、珍しいものです。また、3年毎に行われる「帯祭」も有名です。

帯祭

他の町や村から嫁いできた花嫁は晴れ着で大井神社に参拝し、その後宿内に披露に回る風習があったのですが、花嫁が見世物になるのは可哀想なので、神社の祭礼の時に帯だけを披露するように変化していったものです。祭りは年々華やかになり、今では3kmにも及ぶ行列が練り歩くそうです。

大井神社の太鼓橋

1713年(正徳3)当時、お神輿が渡御するために造営された石の神橋です。両側にある平橋は1856年(安政3)に架けられたものです。後ろの灯籠は、境内で一番古い1663年(寛文3)のものです。

大善寺

山門の脇には閻魔堂があります。水難にあった川越人足や旅人を供養するため、暗闇の中で「施餓鬼」が行われます。

大善寺・時の鐘

時の鐘として、島田宿の人々に時を知らせていました。今は除夜の鐘を鳴らしています。

13:00 島田宿をあとに、いよいよ「越すに越されぬ大井川」に向かいます。