『借宿』は、旧中山道、沓掛宿と追分宿の間の宿として、また女街道(下仁田街道)の分岐点として、江戸時代には茶屋や造り酒屋などがあり賑わったところです。現在はひっそりとしていますが、在原業平の歌に歌われる
「遠近の里」に違いないと自称し、借宿界隈を遠近郷と称し、1771年(明治8)に浅間山社を遠近宮と改称しました。
遠近宮(おちこちみや)
元々は浅間山社といい、浅間山を御神体とする浅間様が祀られていました。創建年は不明ですが古くから安産の神として信仰が厚かったといいます。在原業平の歌にちなんでこの地域を「遠近の里」といい、遠近宮と改称しました。
布屋 土屋作右衛門家
1670年(寛文10)、11代作右衛門によって土屋氏本館からこの地へ新築して移り住み名主を務めました。佐久平の米を買い付け、群馬県へ売る大きな米穀問屋であり、水車を持ち、造り酒屋、質屋、ちゅうま場(中馬業)、立場茶屋などを営んでおり、江戸末期には寺子屋も開いていました。その後焼失してしまいましたが、すぐに再建され現在は23代目のようです。追分郷土資料館には、作右衛門家の嫁入り籠など土屋家が所有していたものも展示されています。
借宿の湧水
遠近宮、布屋を追分方面へ進み、借宿公民館を過ぎて100mほどの右手にあります。
砂の下から湧き上がってくるように湧出しています。
水量はそれほど多くはありませんが、水道がない頃は重宝したと思います。吐口が小さく作られていますので、恐らく昔からそれほどの水量はなかったと思われます。
馬頭観音
近くにはこのような大きな馬頭観音もあります。常夜灯には馬が彫られ、大小6基もの馬頭観音が並んでいます。中馬で栄えた借宿ならではでしょうか。注連縄も新しく、現在でも大切にされているようです。
住所 |
座標 |
採水日 |
採水時間 |
北佐久郡軽井沢町長倉 |
36.341562 138.561324 |
2019.4.30 |
9:15 |
水温 |
EC(μS/m) |
TDS |
塩分 |
10.8℃ |
290 |
176 |
0.01 |
pH |
RpH |
DO |
COD |
7.1 |
- |
7.5 |
3 |
※座標は、グーグルマップ、地理院地図、共通です。
農地が多い割にはECが少ないですね。浅間山周辺で地下へ浸透した水が追分原や御代田、借宿周辺など地形が緩い斜面、あるいは平地になったところで湧き出してきているのでしょう。